いまのきもち

中島みゆき( MIYUKI NAKAJIMA ) いまのきもち專輯

7.歌姫

作詞:中島みゆき
作曲:中島みゆき

淋しいなんて 口に出したら
誰もみんな うとましくて逃げだしてゆく
淋しくなんかないと笑えば
淋しい荷物 肩の上でなお重くなる
せめてお前の歌を 安酒で飲みほせば
遠ざかる船のデッキに立つ自分が見える
歌姫 スカートの裾を
歌姫 潮風になげて
夢も哀しみも欲望も 歌い流してくれ

南へ帰る船に遅れた
やせた水夫 ハーモニカを 吹き鳴らしてる
砂にまみれた錆びた玩具に
やせた蝶々 密をさがし舞いおりている
握りこぶしの中にあるように見せた夢を
遠ざかる誰のために ふりかざせばいい
歌姫 スカートの裾を
歌姫 潮風になげて
夢も哀しみも欲望も 歌い流してくれ

男はいつも 嘘がうまいね
女よりも子供よりも 嘘がうまいね
女はいつも 嘘が好きだね
昨日よりも明日よりも 嘘が好きだね
せめておまえの歌を安酒で飲みほせば
遠ざかる船のデッキに たたずむ気がする
歌姫 スカートの裾を
歌姫 潮風になげて
夢も哀しみも欲望も 歌い流してくれ

握りこぶしの中にあるように見せた夢を
もう二年 もう十年 忘れすてるまで
歌姫 スカートの裾を
歌姫 潮風になげて
夢も哀しみも欲望も 歌い流してくれ